
ここに、Aさん、Bさん、2人の「起業家」がいます。Aさんは、起業することに決めて、事業の方向性も定まり、それを実行に移す段階で「アドバイスがほしい」と僕に依頼してきた起業家です。Bさんは、「だいたいこんなことをやりたいのだけれど、どうだろうか?」というスタンスで、意見を求めてきた起業家の卵です。
Aさんはすでに会社を作り、半歩踏み出している。Bさんはまだ最初の一歩が踏み出せていません。AさんとBさんの間には、一見それほど大きな違いがないように見えます。Bさんだって、ちょっとした手続きをして会社を作ってしまえば、すぐにでもAさんのようになれるように思います。
でも実際には、2人の間には思っている以上に大きなギャップがあります。実際、Bさんは半年後に会っても、まだ会社員でした。Aさんは半年後に会ったら、すでに自分の顧客をつかみ、最初の売上をあげていました。
2年前に『渡辺パコの35歳からは好きなことでお金を稼ぐ』という本を書き、それをきっかけに、さらに何人もの「Bさん」から相談を受けてきました。その中にはAさんに近づけた人もいるし、まだちょっとギャップが大きい人もいます。
こうして、いろいろなBさんを見るうちに、両者の両者の最も大きな違いは、「やりたいことに対するリアリティの差」だとわかってきました。
起業に踏み切れる人は、自分のビジネスが成功するかには自信がないものの、起業後に自分がどんなことをすればいいのかは、かなりクリアにわかっている。一方の起業に踏み切れない人は、起業後の生活や行動がうまく想像できていない。起業はしたいけれど、会社を作ってからどんなことをして時間を過ごすかがわからなければ、自信が持てないのは当然です。
ありがちな誤解は、Aさんは自分の事業の成功には自信があったからで、Bさんは成功に自信がなかったからだと考えることです。
実際には、両者の違いは、事業の成功への自信の有無ではなく、「会社を辞めたら明日から何をすればいい?」という点で、やるべきことをたくさん持っているAさんと、ゆっくり朝寝坊することしか思いつかないBさんという違いだったのです。
その違いを、僕は「起業のリアリティ」の差だと考えました。起業している自分を現実のものとして頭にイメージできるか、どこか自分以外の人のこととして考えているか??どちらも、起業前の段階では、ビジネスが成功するかどうかには、はっきりとした自信が持てないことは共通しています。でも起業後の自分がリアルにイメージできるかどうかには、大きな差があるのです。
そこでこの本では、起業後の自分の生活や、自分がやるべきことを、リアルにイメージできるところまでイマジネーションを鍛えることで、起業に自信が持てるようになること(事業の成功への自信ではなく)が重要だという考えに基づき、「書き込み式」で自分の起業に想像の翼を広げる方法を、具体的なステップを踏んで説明することにしました。
Introduction 本気で起業したいなら、想像力を鍛えよう
想像力が起業の基礎体力
自分の頭で想像することで、事業の主体性が生まれる
週末起業から始めよう
1個売れたら1個分儲かっているところを想像する
step1 言葉を持つ
最低週1回、3ヵ月以上はブログを書く
「書ける」人なら「語れる」
書ける人はリーチが広く、信頼される
どんな分野で起業するか、広く洗い出す
自分が将来にわたってやっていきたいことを見つける
起業のネタを楽しみながら毎日探す
どんどん書く!
step2 人に「教えてほしい」と言われるようになる
ブログを目的を持ってリニューアルしよう
教えたら、おもしろがってくれる人を探す
「教えてほしい」と言われるような知識を持つ
ブログで知り合った人が、見込み客になる
名刺を作る
教えることは、ビジネスの基本
step3 お金の流れを見に行く
ビジネスモデルを意識する
顧客が払うお金は、価値に比例して経費として振り分けられる
実際に聞きに行く
ビジネスとお金の流れをチャートにする
step4 リアリティを上げる
あなたのやりたいビジネスはどんなビジネス?
商品を決める
具体的に「想像」する
どんな価格帯で売る?
step5 手間を惜しまない
さらに徹底的に想像し、考える
外注はしない、まず、すべて1人でやる
自分の知恵で効率を上げる
作る手間
広告の手間
販売の手間
手間のリスト表をつくり、イメージをリアルにつかむ
step6 自分の仕事に値付けする
自分の仕事に値付けをしよう
固定費を極力減らし、できる限り変動費にする
初期投資を限りなくゼロに近づけるべく、知恵を絞る
すべてのコストは、小さく始めて、うまくいったら増やす
手間をかけて、最大どのくらいの生産・サービスが実現できるか?
どのぐらいの時間働くか?
時間とお金の関係の切り口で見る
値付けは大胆に、価格の理由を考える
step7 事業の入れ物を作る
協力者は集めても事業は1人でやる
メンターを持つ
会社を作るべきか?
運用をマニュアル化する
step8 起業とお金、税務
お金を適切に管理することは、経営者の基本中の基本
専用口座を作る
3?6ヶ月分の資金を用意する
開業資金が足りないときはどうするか?
お金の動きはすべて記録する
利益をシンプルにとらえる
さあ、開業!
1960年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒。コピーライターを経て、執筆、コンサルタント(人材・人事、経営戦略、環境経営)、講師・ファシリテータとして活動。 現在、株式会社水族館文庫代表、グロービス経営大学講師、亜細亜大学経営学部非常勤講師、デジタルハリウッド大学講師、日本工業大学専門職大学院客員教授、NPO法人環境リレーションズ研究所監事をつとめる一方で、横浜市などの環境政策にも関与。