
本書では、これまでの私の経営コンサルティング経験を皆さんに役立ててもらいたいという思いで書きました。コンサルティングにおける意思決定の場面を再現し、読者の皆さんに「自分ならどうするか」という疑似体験の場を提供することにしたのです。
経営コンサルティングの場で私が直面した問題を再現し、そのときの取りうる選択肢を「3択」の形で提示し、「あなたならどうしますか?」という形で問いかけます。読者の皆さんに私と同じ体験をしてもらい、対処方法を考えていただくのです。
そして私が実際にどうしたかは、それに続けて、意思決定する際に考慮すべきポイントを示しながら、解説しています。改革活動やコンサルティング活動は、医者で言うと「臨床医」であって、「基礎研究者」ではありません。実際に患者を診たり、処方箋を出したり、執刀したりする経験を積むなかで腕前が上がっていきます。ですから、知識とともに経験やその状況に置かれたときの「判断力」「意思決定力」「行動力」が重要となります。
改革活動は難易度が高く、患者にたとえれば重症・重病を取り扱うのに似ています。だから、素人が治療したり執刀しようとすると、失敗する危険性が高くなります。
私自身は、なるべく多くの会社の改革をお手伝いしたいのですが、私が使える時間には限りがあります。お手伝いできないでいるうちに、不治の病になったり手遅れになったりする会社もあるでしょう。一方で日本全体を見ると、従来のパラダイムを転換しなければならない会社はゴマンとあります。
そこで、改革が求められる会社にいる人たちで、少しでも会社をよくしたいと考えている人たちに、私の取り扱ったケースを知ってもらい、改革活動やコンサルティング活動を疑似体験し、成功したり成果を上げる確率を高めてもらいたいと考えたのです。
私が若い頃の事例もあり、すべてが成功事例ではありませんが、失敗事例も反面教師として役立つこともあるでしょう。
(以上、本文より抜粋)
第1部 経営コンサルタントの視点
プロは経営問題にどう迫るのか
1.プロ・コンサルタントは改革の手順を重視する
2.プロ・コンサルタントは問題点を素早く分析する
3.プロ・コンサルタントは患部の本質に迫る
4.プロ・コンサルタントはトップを動かす
第2部 経営問題解決のトレーニング
3択問題「あなたならどうする?」
1.経営者は苦手な体育会系だ!――経営者の意識改革
2.えっ、給料が出ないって!?――給与制度の改善
3.社員には不満がいっぱい!――動機付けの研修
4.三重帳簿をつくっている!――粉飾経営の立て直し
5.自力で経営改善するって!?――経営改革の進め方
6.なんでこんなに人が多いんだ!――余剰人員の削減
7.赤字の事業を続けているのか!――不採算事業の撤退
8.なんでこんなに借金があるんだ!――借入金の返済
9.道半ばで担当役員が死んだ!――プロジェクト体制の見直し
10.仕入れ原価が高すぎるぞ!――改革成果の配分
11.倉庫に金かけてどうするんだ!――物流のアウトソーシング
12.赤字商品ばかりじゃないか!――不採算製品の撤退
13.業績のひどい営業所がある!――不採算営業所の閉鎖
14.経営者は責任をどう取るんだ!――引責辞任で後任選び
15.本社組織が肥大化している!――退職の勧告
16.資金ショートが起きている!――資金繰りの計画
17.粉飾決算のツケは大きいぞ!――改革の時期と規模
18.急成長で銀行融資が足りない!――急成長企業の資金調達
19.店舗は問題だらけじゃないか!――店舗評価のポイント
20.工場は問題だらけじゃないか!――工場の改善ポイント
21.社長が若手に厳しすぎる!――若手社員の教育
22.出店コストが高すぎるぞ!――成長期の出店戦略
23.店の収益が低すぎるぞ!――店舗運営の採算点
24.働き過ぎの社員が危ない!――モーレツ性の行く末
25.最重要課題がわかってない!――経営課題着手の順序
26.プロジェクトが中断する!――モラール維持の限界
27.組織・人事制度がおかしい!――組織・人事の強化策
28.まだ年功序列制度なのか!――人事評価の刷新
29.各種手当てが多すぎるぞ!――各種手当ての存廃
30.役職階層が多すぎるぞ!――新人事制度への移行
31.古いだけの人は辞めてもらう!――業績評価の反映
32.業績評価が偏っている!――業績評価の項目
33.営業はご用聞きでいいのか!――営業部の組織戦略
34.間接部門が多すぎるぞ!――管理本部のスリム化
35.役員人事がおかしいぞ!――大企業出身者の問題
36.役員が事務仕事までしている!――たたき上げの実行力
37.会社が分割売却される!――社長の処遇
38.人材育成が追いつかない!――人材の促成栽培
39.営業所は問題だらけじゃないか!――プロジェクトのスコープ
40.プロジェクトが打ち切りになる!?――危機対処の行動
41.できる営業所長はいないのか!――人材育成法の企画
42.リピート受注を取れるか!――コンサルタントの選出
43.売れる営業マンを採用しろ!――営業マンの採用
44.他のコンサルが入っている!――コンサルタントの活用法
45.社長が元コンサルだって!?――トップの攻略
46.どこで利益を出すんだ!――損益分岐点
47.なぜ売上が伸びないんだ!――売上増大法
48.プロジェクト担当を評価しろ!?――人事評価の伝え方
49.会社のことがわかっていない!――危機意識の共有
50.過去の経営を総括する!――たとえ話の効用
理論偏重ではない「使えるコンサルティング」「実効性のある研修」を柱としたコンサルティング・グループ。 1993年に設立。具体的かつ即効性のある「ワークアウト」(プロセスコンサルティング)、「わかる」から「できる」までを習得する「ノウハウ・ドゥハウ」研修プログラム、自らを変革させ、組織に変革を起こす「塾」プログラム(教育的実践プログラム)を展開。コンサルタントが日々実践する「思考」と「行動」を様々なプログラムに反映させ、理論ではなく、実践的に効果が見えることに重点を置く。 「ビジョン&戦略シナリオ策定」「ビジネスプラン策定」「ウェイ浸透プログラム」「マーケティングスキル向上」「営業戦略策定プログラム」「グローバルリーダーシップ」といったプログラムは多くの企業で採用され、実績をあげている。
横浜国立大学工学部大学院研究科を修了。現在、株式会社HRインスティテュートの代表。中京大学経済学部・総合政策学部講師。NPO法人「師範塾」副理事長。FMヨコハマで「Yokohama Social Cafe」のDJもつとめる。 主な著書・編著に『人をあきらめない組織』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「ウェイ」のある強い経営』『ビジネスプラン策定シナリオ』(ともにかんき出版)、『コンサルタントの「質問力」』(PHP研究所)など多数。