
「戦略」と聞くと身構える人もいるかもしれない。しかし、企業という組織であろうと、企業人という個人であろうと、今、このキーワードが、勝ち残りの条件なのだ。戦略とは、「勝つための明確なる特徴づけ」。いわば、差別化・優位性の基本指針である。勝つための「コンセプト」といってもよい。
本書のテーマである戦略構想とは、勝つためのコンセプトを考え、実現の筋道を考えることである。決して難しいことではない。「何を強くし、どんな欠点をどう補うかを考えること」だからだ。とは言っても、総論賛成・各論反対といった考え方にはならないように、仕組み・仕掛けをしたたかに考え、実行しなければならない。したたかとは、目的と目標を明確にし、進むべきベクトルをより差別的に進めることを言う。したたかな企業、したたかな企業人こそが、常に戦略構想を頭の中で巡らせているのだ。
「したたかさ」=「勝負力」という意味でもある。
では戦略思考と戦略構想はどう違うのか――。戦略思考とは、戦略的発想・戦略的行動の基盤である。少々、窮屈だ。全体を体系化し、全体のロジックをよりモレなく・ダブリなく考えることだ。一方、戦略構想は、より勝つことにこだわり、勝つためのアイデアを自由にそしてしたたかに考えることである。多少、足りないことがあってもいい。とにかく、勝つことが重要なのだ。
環境が厳しいということは、競争が激しいことを意味している。日本は、長く右肩上がりの状況を謳歌してきた。成熟、横ばい、そして今、まさに右肩下がりの環境に突入した。これは、日本の有史以来の話だ。どう勝つか? どう生き残るか?この勝負のポイントが、戦略構想なのだ。戦略構想力には、戦略シナリオ力とロジカルシンキング力が不可欠だ。この大きな2つのスキル群を、ぜひ本書を通して身につけていただきたい。そうすれば、きっとこれまでの仕事の見え方が、変わるはずだ。より刺激的で、より充実したものにこれまでの仕事が見えてくるはずである。
本書は、トップ・ミドル・若手関係なく、すべての企業人に身につけてほしいスキル&マインドを体系化させたトレーニングブックである。筆記用具を持ってどんどんメモを書いて読み進めてほしい。
プロローグ 「戦略構想力」を理解する
1.戦略構想のフレームを押さえる
◎なぜ戦略構想力が求められているのか?
◎戦略構想力を磨くには?
2.戦略の基本をテストで押さえる
◎テストで考える戦略の基本
◎テストカテゴリー1:戦略の古典
◎戦略の古典のおさらい
◎テストカテゴリー2:近代&現代戦略
◎近代&現代戦略のおさらい
◎テストカテゴリー3:戦略ツール
◎戦略ツールのおさらい
3.ベストプラクティスで考える戦略構想力
◎ベストプラクティス・スピーチでトレーニング!
トレーニング1 「分析ツール」活用力を鍛える!
1.分析ツールの基本を整理する
◎分析ツールの種類
◎分析ツールの選び方
★ケース・トレーニング1 分析ツールのトレーニング
2.ツリー化のトレーニング/ロジックツリー
◎ロジックツリーで経営課題ツリーをつくる
◎A社の最重要課題を決定する
◎フレームワークを検討・決定する
◎取り組み課題をブレイクダウンする
3.マトリックス化のトレーニング(1)/PPM分析
◎ポジショニング・マップの代表的分析ツール
◎事業データをリストアップする
◎成長性、売上高、シェアでポジショニング!
◎3年後のポジショニングを設定する
4.マトリックス化のトレーニング(2)/SWOT分析
◎表形式マトリックスの代表的分析ツール
◎自社の強みと弱みを列挙する
◎業界の機会と脅威を列挙する
◎クロスで今後の活動方針の仮説を検討する
5.マトリックス化のトレーニング(3)/
ビジネス・ヒエラルキー分析
◎組織の6階層は暗記する
◎各レベルでの問題点を列挙する
◎問題群の本質をワンワード化する
◎だからどうするかを決定し共有化する
6.マトリックス化のトレーニング(4)/
コア・コンピタンス分析
◎顧客の選定要因を対象に競合と比較する
◎選定要因を顧客の目線で考え決定する
◎自社と競合(商品同士)を評価する
◎今後、どの強みをどう特徴とするのか検討する
7.プロセス化のトレーニング(1)/ビジネスシステム分析
◎ビジネスの流れと問題点を他社と比較する
◎ビジネスシステムを洗い出す
◎競合をベンチマーキングする
◎ビジネスシステムの改善・改革を検討する
8.プロセス化のトレーニング(2)/カスタマー・シナリオ分析
◎お客をグループ化して愛用プロセスをシナリオ化する
◎カスタマーをグループ化する
◎グループごとのプロセスシナリオをつくる
◎訴求ベネフィットを探索する
トレーニング2 環境分析力を磨く
1.環境分析のフレームを押さえる
◎2つの分析ツールと3つのアプローチ
◎3C分析と5Forces分析
◎マクロ環境分析→業界・市場環境分析→社内環境分析
★ケース・トレーニング2 環境分析のトレーニング
2.マクロ環境分析
◎6つのステップでマクロ環境分析を進める
◎過去・現在・未来の時間軸で考える
3.業界・市場環境分析
◎プライマリーデータとセカンダリーデータ
◎最低限5つの項目は分析する
◎業界・市場分析の6つのステップ
◎ケースで見る業界・市場環境分析
4.社内環境分析
◎定量アプローチと定性アプローチ
◎環境分析をまとめておこう
トレーニング3 戦略仮説力を高める
1.戦略仮説力のまとめ方
◎ベストプラクティスで戦略仮説の視点を絞り込む
◎自分なりの戦略マップをつくる
◎戦略構想が戦略仮説の価値を高める
★ケース・トレーニング3 戦略仮説のトレーニング
2.ベストプラクティス分析
◎すぐれた戦略を手本にして応用する
◎テーマ&ターゲットを設定する
◎テーマ別に情報を収集し分析する
◎アクション・プランの作成~実施~定着化
3.コア・コンピタンス分析
◎コア・コンピタンスの本当の意味
◎コア・コンピタンステーマを決定する
◎評価し目標を設定する
◎最重要コア・コンピタンスを決定する
4.戦略マップをつくる
◎コア・コンピタンス分析から基軸を抽出する
◎戦略軸を設定する
◎戦略軸の尺度・基準を設定する
◎戦略オプションを設定する
トレーニング4 ビジネスモデルの検証方法を身につける
1.ビジネスモデルでの新しいビジョンづくり
◎現状を認識し、新しい価値を生み出す
◎何を目指し、どう実現するのか
★ケース・トレーニング4 ビジネスモデルのトレーニング
2.ビジネスモデルを仮説化する
◎ポジショニングから方向性を決める
◎ビジネスアイデアを設定する
◎問題点からビジネスモデル仮説を構築する
◎切り口の異なるアイデアを考えよう
3.リ・ドメインを実施する
◎リ・ドメインの2つのステップ
◎ドメインの方向性を描く
◎ロードマップを描く
◎ソリューション・ロードマップのまとめ方
トレーニング5 オプション思考を鍛える
1.戦略オプションで戦略を整理する
◎戦略要素のオプションを考える
◎戦略の前提と定石を押さえる
◎ターゲットセグメンテーションで考える
◎オプション思考で商品コンセプトを考える
★ケース・トレーニング5 戦略オプションマトリックスのトレーニング
2.戦略オプション要素を整理する
◎この事業の勝負どころはどこか?
◎軸を選択する
◎ターゲットを分析する
◎ベネフィット~ソリューション分析
3.戦略オプションマトリックスをまとめる
◎オプション名が横軸、戦略テーマが縦軸
◎戦略テーマを設定する
◎戦略タイトルを考える
◎戦略要素を埋める
トレーニング6 戦略体系手法を身につける
1.基本戦略&個別戦略を体系化する
◎基本戦略のつくり方・描き方
◎個別戦略を体系化する
★ケース・トレーニング6 基本戦略&個別戦略のトレーニング
2.基本戦略の策定
◎どんな強みを生かし、どの方向へ向かうのか
◎複数の戦略を評価する
◎評価の結果から基本戦略を選択する
◎基本戦略を明文化する
3.個別戦略の策定
◎基本戦略をブレイクダウンする
◎個別戦略テーマを決定する
◎戦略の内容を決める
◎戦略内容を明文化する
理論偏重ではない「使えるコンサルティング」「実効性のある研修」を柱としたコンサルティング・グループ。1993年に設立。サービスブランド「ノウハウ・ドゥハウ・ドットコム」は、具体的かつ即効性のあるワークアウト、研修、WBT(ウェブ・ベースト・トレーニング)、通信教育などのプログラムのコンセプトでもある。コンサルタントの「ノウハウ・ドゥハウ」を十分反映させた「ビジネスプラン策定」「ビジョン&戦略シナリオ策定」「マーケティングスキル向上」「プレゼンテーションスキル向上」「ロジカルシンキング・スキル向上」といったプログラムは、多くの企業で採用され、実績をあげている。 原宿にあるオフィス兼セミナーハウスは「ビジョンハウス」と称し、多くのビジネスパーソン、起業家、主婦、教師、学生、フリーターに対して各種ビジョン開発プログラムを提供している。
横浜国立大学工学部大学院研究科修了。1993年、コンサルティング会社である株式会社HRインスティテュートを設立。現在、同社代表。中京大学総合政策学部・経済学部講師、NPO法人「師範塾」副理事長。 「使えるコンサルティング」を意識した実践性、即効性を重視している。同社のミッションは「主体性を挽き出す」。現場重視のプログラムを多くの企業、団体で展開中。ビジョン&戦略シナリオ策定、マーケティング戦略シナリオ策定、仮説提案型営業への変革、社内ベンチャープログラムなどを、コンサルティング、ワークアウト(コンサルティング×研修)、研修プログラムの3つのスタイルで実施。 FM横浜(84.7MHz)で社会企業家とのトーク&音楽番組「Yokohama Social Cafe」のDJを担当。 主な著書・編著に『コンサルタントの「質問力」』(PHP研究所)、『考える組織』(ダイヤモンド社)、『遺伝子経営』(日本経済新聞社)、『人をあきらめない組織』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「ウェイ」のある強い経営』『ビジネスプラン策定シナリオ』(以上小社)など多数ある。