激しい争い

2007年10月14日

長女(6歳)と次女(4歳)が、両者号泣に至る大喧嘩をした。私の目の前で、夕食中の出来事だ。

そのとき、家族で、「ミカン食べ比べコンテスト」をやっていた。たくさん買ってきたミカンの中から、各自が一個を選ぶ。それを一房ずつ食べ比べ、誰のミカンが一番甘いのかを決定するのだ。

優勝者は、次女(4歳)だった。次女は大喜び。

ところが、次女が長女とミカンを一房ずつ交換する際に紛争が勃発した。長女が一房を次女に与えたにも関わらず、次女は自分のミカンを必死で半分に千切り、半分のみを長女に与えたのだ。

長女は「ずるい!」と絶叫し、残り半房のミカンを奪おうと、次女ともみ合いになった。しかし相手に隙を与えず、鬼の形相で残りの半房を口に放り込んだ次女。長女は号泣した。それを見て、「だって、もっと食べたかったんだもん!!」と言って次女も泣きわめき始めた。

一部始終を見ていた私と妻は、不覚にも腹を抱えて笑ってしまった。妻に至っては、笑いが止まらず涙まで流している。

机の上には、ミカンが合計30個ほど山盛りになっている。何も、半房のミカンをめぐってそこまで争わないでもいいだろうに。次女のセコさも驚異的だが、それくらいのことを許せずに号泣する長女のナイーブさにも、驚いた。

愛媛県のミカン農家の皆さん、ありがとうございます。生協で買った「旬選味わい小粒みかん」、おいしくいただいています。まだ熟れ方は若いですが、それでも紛争の種になるほどの味です。

収穫の秋である。

山中れいじ


桐朋中学必読図書(君たちはどう生きるか)

2007年10月13日

読書の秋が来た。

読めば読むほど味わい深く、新しい学びを得られる本がある。その一つが、私の中学の時の必読課題図書だった「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著 岩波文庫)だ。

著者が子供たちに伝えようとした熱い思いに、心打たれることが多い。

今日久々に読み返してみて共感したのは「ナポレオンと4人の少年」という章だ。英雄的精神を失わず、活動的な生涯をおくったナポレオンが、絶賛されている。

「日本では、総理大臣を2、3年つとめると、大抵の人がからだをこわしてしまうといわれている。(中略)それを思ってから、ナポレオンの生涯を見てみたまえ。彼は、大動乱のあとのフランスに新しい秩序を打ちたてなければならなかった。絶えず外国の干渉を撃退しなければならなかった。そして、それをやりあげてから、休む暇もなく、ヨーロッパの国際政治の真唯中に立って、荒海のような外交関係を乗り切ってゆかなければならなかった。彼はその仕事を立派に引き受けて、国内の問題も、外交問題も、すべて自分が一手に決済していったばかりではない。その間に、歴史上それまでなかったような大戦争を、つづけさまに3つも4つもやって、しかも、その度ごとに、自分自身戦場に立って、大軍の指揮を引き受けたのだ。ほんとうに、驚くばかりの精力じゃないか。」

しかし筆者は、ナポレオンの活動力を絶賛しながらも、次のような問いを投げかける。

「ナポレオンは、その素晴らしい活動力で、いったい何を成し遂げたのか」

封建制度を打ち倒した、ナポレオン。しかしナポレオンはいつしか、自分の権力のために権力を揮うようになり、逆に人類の進歩に逆らうようになっていった。筆者は、小学生にも理解できる平易な文章で、次のように論じる。

「英雄とか偉人とかいわれている人々の中で、本当に尊敬が出来るのは、人類の進歩に役立った人だけだ。そして、彼らの非凡な事業のうち、真に値打のあるものは、ただこの(人類の進歩という)流れに沿って行われた事業だけだ。」

そして筆者は、次のメッセージで、この「ナポレオン」の章を締めくくった。

「君も大人になっていくと、よい心がけをもっていながら、弱いばかりにその心がけを生かしきれないでいる、小さな善人がどんなに多いかということを、おいおいに知って来るだろう。世間には、悪い人ではないが、弱いばかりに、自分にも他人にも余計な不幸を招いている人が決して少なくない。人類の進歩と結びつかない英雄的精神も空しいが、英雄的な気迫を欠いた善良さも、同じように空しいことが多いのだ。君も、いまに、きっと思いあたることがあるだろう。」

1937年に、筆者が子供たちに向けて送った、渾身のメッセージである。

私はどう生きるべきなのか、久々に原点に立ち返って考えてみたい。
読書の秋である。

山中れいじ


ある家族の会話

2007年10月07日

娘二人を連れてボーリングに行った時のこと。駐車場をようやく見つけ、ややこしくバックしながら駐車しようとしていた緊張モードの私に、娘たちがやたらと話しかける。

「ちょっと、だまってて。返事できないから。」

とたしなめたにも関わらず、上の娘(6歳)が私に聞いてきた。

「ママはさ、パパと結婚したとき、パパのこと好きだったの?」

あまりの質問に私が絶句していると、下の娘(4歳)が答えた。

「ママは、パパがいっつもお金を持ってきてくれるから、だから結婚したんだよ。」

私は危うく、隣の車にぶつけそうになった。

子供とは、なんと残酷な、なんと不可思議な生き物だろう。

山中れいじ