しばらくブログを書けず、すっかり遅くなってしまったが、過去1ヶ月に自分を最も感動させた映像/文章は、NHKスペシャルの「激流中国」だった。第二回の「ある雑誌編集部 60日の攻防」は、メディアが規制される中国の中で、ギリギリの線を突きながら様々な社会問題に取り組む、ある雑誌編集部を取り上げていた。
この編集部は、いたずらに正義心を振りかざし、当局を刺激することを避ける。その保守主義のためか、才能ある編集者達が離反し、独立する。しかし独立した編集者達は、政府を真っ向から批判する記事を掲載し、結局廃刊を余儀なくされる。
一方で、この保守的な編集部の方は、淡々と事実を伝え続ける。ある省における人身売買の実態を明らかにしたルポタージュは、その行政区の強烈な妨害を受けながらも掲載され、大きな反響を呼ぶ。
この編集長は、現状で与えられている「報道・言論の自由」を決して過大評価しない。そして許された範囲内で、事実を伝え続けることによって、少しずつ、したたかに社会を改良しようとしている。
これを見ていて、「曲なれば、則ち全し」という老子の言葉を思い出した。直線的に行動するのではなく、曲線的に行動することで、より大きなインパクトを社会に与える。そういう生き方もあるのだと、心を揺さぶられる思いがした。
山中れいじ