しばらく小説を読んでいなかったが、久々に手に取った文庫本。横山秀夫の「クライマーズ・ハイ」は感動的だった。
この小説の登場人物達は、皆真剣勝負で仕事に挑む。むなぐらをつかむような喧嘩は、社内で日常茶飯事だ。この熱さが、何やら新鮮で、また少しうらやましいような気もした。
「クライマーズ・ハイというものは本当にあるんですか?」 「あります。結構、恐ろしいものですよ」 「恐ろしい・・・?」 悠木は意外な思いにとらわれた。 「興奮が乗じて恐怖心がマヒしてしまうようなことですよね?」 「ええ、そうです」 「怖さを感じなくなるんでしょう?だったらなぜ恐ろしいんです?」 「解けた時が恐ろしいんです」 末次は眉を寄せて言った。 「ひょんなことで、そのクライマーズ・ハイが解けた時が恐ろしい。心の中に溜め込んでいた恐怖心が一気に吹き出しますからね。岸壁を攻めている途中で解けてしまったら、そこからもう一歩も登れなくなります」
(「クライマーズ・ハイ」横山秀夫)
ベンチャー投資も、クライマーズ・ハイみたいなものだと思いながら、この一節を読んだ。ベンチャー投資だけではない。あらゆる職業人生が、岸壁を登るような厳しさと興奮に満ちていると思う。
山中れいじ
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