昨日アップした「そのとき歴史が動いた」の名言トップ10に、山本五十六の言葉が入っていた。
「百年兵を養うはただ平和を守るためである」
真珠湾攻撃を企画・遂行した山本五十六が、対米戦争回避にこれほどの情熱を傾けた人物だったとは、知らなかった。対米戦が無謀であることを知りながら、政府の決定に従い対米戦を遂行せざるを得なかった山本五十六。これほど苦しい立場に立たされたリーダーは、古今東西いなかったのではないだろうか。
上記の言葉は、真珠湾を攻撃する部隊を送り出す時の言葉だという。最後の和平工作に一縷の望みを抱いていた山本は、部隊に対して言った。「ワシントンで行われている対米交渉が妥結したならば、ハワイ出動部隊はただちに反転して帰投せよ」
それに対して、南雲中将など何人かの指揮官は、答えた。「それは無理な注文です。出しかけた小便は止められません」
その瞬間、山本は激して言ったという。
「もしこの命令を受けて帰れないと思う指揮官があるなら即刻辞表を出せ。百年兵を養うは、ただ平和を守るためである」
山本は、悲しかっただろう。不合理な政府の決定。当然のことを理解しない部下。その間に挟まれながら、対米戦の無謀さを誰よりも知ってしまっていた、その理性が心を苦しめただろうと思う。
山中れいじ