2006年10月10日

以前このブログで、茨木のり子の「自分の感受性くらい」をご紹介した。予想外に大きな反響をいただき、驚いた。おそらく誰もが、ボロボロに傷つけられるような理不尽さと戦い、その中で必死でご自分の感受性を守っておられるのだろう。

今日は、最近読んで共感した別の詩をご紹介したい。
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雁  

暖かい静かな夕方の空を
百羽ばかりの雁が
一列になって飛んで行く
天も地も動かない静かな景色の中を、不思議に黙って
同じやうに一つ一つセッセと羽を動かして
黒い列をつくって
静かに音も立てずに横切っていく
側へ行ったら翅の音が騒がしいのだらう
息切れがして疲れているのもあるのだらう
だが地上にはそれは聞えない
彼等はみんなが黙つて、心でいたはり合い助け合って飛んでゆく。
前のものが後ろになり、後ろの者が前になり
心が心を助けて、セッセセッセと
勇ましく飛んで行く。

(後略)

(「雁」  千家元麿 『教科書で覚えた名詩』より)

この詩を読んでいて、以前の職場であるキヤノンを思い出した。素晴らしい会社だと、絶賛してくれる人が、私の周りに多い。遠くから見ていると、ただただ素晴らしい会社に見える。しかしその中では、疲れている人もいる。苦しんでいる人もいる。傷んでいる人もいる。その皆が、互いに助け合って、「セッセセッセと勇ましく飛んで行く。」

最近、ベンチャー企業の中で傷つき、苦しんでいる社員が多く目につく。外からは見えないことも多いが、そんな社員の懸命な努力が、ベンチャー企業に力を与えていると思う。

山中礼二

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