陸(おか)の学問、海の学問(座右の銘)

2006年02月06日

座右の銘、と言っても過言ではない言葉が、私にはいくつかある。そのうちの一つは、司馬遼太郎の「菜の花の沖」で、高田嘉兵衛の言葉として出てきた。

高田嘉兵衛:淡路島の出身であり、1代で北前船の船主までのぼりつめ、択捉航路を発見。昆布の安定供給に多大なる貢献をした。ロシア船に捕獲され捕虜として収容されたが、嘉平は船内でロシア語を学び、ロシア人と心を通わせるようになり、日・ロの外交紛争(ロシア人ゴローニンの捕獲事件)解決に尽力する。彼の人格は、多くのロシア人を感動させ、その中の一人は後に、日本にあこがれ、日本に移住してロシア聖堂を立てた。

司馬遼太郎の小説「菜の花の沖」で、その高田屋嘉兵衛が部下達に語ることば。

 「わしらの学問も武士の学問とはちがうのだ。海をゆき陸(おか)を歩き、物という物を、並はずれた熱心さで見、身をかがめて人の話をきき、夜は夜でたえず思案していることでできあがる学問だ」

 「わしらは武士とはちがい、かたときも油断があるべきでない。加太の陸にあがれば、その土地の漁の仕方や漁師の稼ぎ方をきく。または干鰯なら干鰯の売り値がいくらでどこへ売るかをきく」

ビジネスに命を賭けた人物の信条である。小説上の話だが、登場人物にこういう台詞を吐かせられる司馬遼太郎は、やはり偉大な作家だと思う。

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