2007年08月06日
日・中・韓の3国の学生3人が一チームを作り、一週間寝食を共にしながらビジネスプランを作るという「OVAL」が、今年は北京で開催されている。昨日、日本人参加者向けの事前研修(Pre-OVAL)があり、合計7時間の研修を全て担当した。(グロービスの社会貢献活動の一環として)
今年は、30名の参加枠のために、合計160名が応募したとのこと。OVALの認知度も、参加者のモチベーションも、ますます上がってきている。
前回の東京大会では、市場の理解が浅いチームが多かったため、今回は、参加者が事前に作ってきたプランを題材に市場分析のありかたをディスカッションした。結果がどう出るか、楽しみでもあり、怖くもある。
今日北京に旅立つ30名。健闘を祈りたい。
山中れいじ
2007年07月26日
しばらくブログを書くこともできなかった。投資先企業が資金を使い果たし、今月末の給与を払えない状況だった。
苦しい資金調達活動が半年近くも続いた。最後に手を差し伸べてくださる人が現れたのは、やはりこの事業を天が求めているからかもしれない。そんな神がかりなことを考える。いかにも「神風」が吹いた感じがする。
以下、ベンチャー企業の財務マネジメントについて、学んだこと。
・そもそも、人を採りすぎて、固定費を上げすぎたから、リストラに苦労した。歯止めをかけられなかった自分たち投資家の責任である。
・経営者が他のVCを回り始める前に、事業計画を完璧に仕上げ、起業家のプレゼン練習にまで付き合う必要がある。既存株主が事業計画を厳しく叩かなければ、新規投資家にそっぽを向かれる。
厳しさこそがやさしさの顕れであると知った半年だった。甘い投資家は、会社を腐らせる。
以上、自戒を込めて。
山中れいじ
2007年05月08日
私は大学時代に、「ミッション」という英語を知らなかった。だから、野中郁次郎教授に授業中突然当てられ、「海兵隊のミッションは何だと思う?」と聞かれた時に、思いっきり聞き返してしまった。
「『ミッション』というのは、どういう意味ですか?」
野中先生の表情に、ありありと失望の色が浮かんだ。「きみ、ミッションというのは、使命のことだよ。」
私は幸い、海兵隊のケースを十分に予習してきていたので、海兵隊の果たしてきた歴史的使命を答えることができた。当時はまだ、野中先生がいかに大学者かちっとも知らなかったため緊張もしなかったが、今考えると背筋に寒いものが走る。
ところで、ベンチャー企業にとっても、起業家にとっても、ミッションは重要だと思う。モチベーションを維持し、共通のゴールを持った強い組織を作るのが、ミッションだ。
しかし、「良いミッションとは何か」「どうミッションを作れば良いのか」となると、これは難しい。そんな時に出あった言葉。
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「自分が生まれてきた意味を知っている人は強い」
たくさんの起業を見てきて、そう思うようになった。
たくさんの人が失敗してしまう中で、
あっさりと成功してしまう人がいるのは、
自分の居場所を知っていたから。
自分の居場所っていうのは、社会から与えられている。
だから、その場所が分かった人には、責任がある。
使命が出来る。
それがミッション。
自分らしくあれる場所、
戦う必要がない場所、
そんな場所が見つかったら、宣言しよう。
「ここは私の場所」だって、宣言しよう。
そこは、とてもとても
大切な場所だから。
そして、その場所で真摯に仕事をしよう。
毎日、毎秒、ミッションを意識して仕事をしよう。
いつか、自分にとっての大切な場所が
社会にとっての大切な場所になるように。
(「戦わない経営」 浜口隆則)
確かに、「良いミッションを作ろう」とがんばるのは本末転等で、ミッションは「帰ってきたウルトラマン」が変身する時のように、自然と天から与えられるものなのかもしれない。
「日本の開業率を10%に引き上げる」というミッションを持ち、起業家向けのレンタルオフィスを多店舗展開する、株式会社ビジネスバンク代表の浜口氏。独特の経営哲学を、柔らかい言葉で語っていて、興味深い。
山中れいじ
2007年02月26日
"Harvard Business Review on Entrepreneurship"という論文集を買って読んでいたところ、衝撃的なデータを目にした。
米国の1989年のInc.誌が発表した、「最も急成長している米国企業トップ500社」の中から、100社の起業家を訪問しインタビューしたところ・・・
41%の起業家は、まったくビジネスプランを作成したことがなかった
26%の起業家は、簡単かつ基本的なプランしか作成していなかった
5%の起業家は、投資家向けに財務計画のみ作成していた
28%の起業家は、完全なビジネスプランを作成した
(Amar Bhide "How Entrepreneurs Craft Strategies That Work" Harvard Business Review
March-April 1994)
起業家にとって、最も希少な資源は、カネではなく、「時間」だと思う。完全な事業計画を作成するのに時間を割くか、または事業に着手してみて、初期の失敗から学ぶことに賭けるか、難しい判断だ・・・。
山中礼二
2007年02月03日
ベンチャーキャピタリストは様々な方法で投資先企業の成長を支援する。その中でも最も典型的な経営支援が、リクルーティング、つまり経営人材の誘い込みと紹介だ。
私はマネジメントの経験が浅い分、せめて人材を採れるキャピタリスト、人を口説き落とせる投資家になりたいと思ってきた。
しかし、オシムをジェフ市原に引き抜いてきた、ジェフの前GM祖母井氏の話を日経新聞で読んで、自分の甘さを痛感した。
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(以下、抜粋)
一九八五年、ケルンスポーツ大を卒業し、大阪体育大助手(後に助教授)となる祖母井は、九〇年にゼミの学生を連れて欧州へ研修旅行に出た。ベルデニックのつてでユーゴスラビア代表の合宿を視察。チームを率いていたオシムとここで出会うことになる。
13年後、ジェフ市原(現千葉)のGMに就いていた祖母井はチームをこの名将に託す。といっても口説き落とすには1カ月を要した。連日の電話攻勢。「この人に賭けているんだというオーラを出そうと思って、24時間オシムさんのことを考え続けた。音楽はユーゴの歌しか聴かなかった」。子供じみていると笑うなかれ。このユーモアに包まれた気合こそが交渉ごとの武器となる。
トルコで行われた欧州コーチ会議の晩さん会では、壇上に上がってトルコ音楽で踊り狂い、喝采を浴びている。「世界の指導者たちに何かアピールしなくてはと考えた結果、そんなことしか思い浮かばなかった」。会議に出席していた元チェコスロバキア代表監督のジョゼフ・ベングロシュを後に招へいできたのだから熱演のかいはあった?
ひとの胸にぐりぐりと入り込もうとする、ちょっと変な男に大物監督たちは気を許し、信頼を寄せる。祖母井は言う。「GMとして監督に信頼されるには? 毎日、話をすることです」。毎夜のように監督のもとに足を運び、食事をし、杯をかたむけ、話し込む。足を運べなければ電話で話す。共同作業でいいチームをつくっていきましょうという熱意を伝え続ける。
オシムが就任した二〇〇三年からの3年は毎年リーグ優勝を争い、〇五年にはナビスコ杯で初優勝。戦績を上げただけではない。オシムはチームと祖母井に大事な思想を授けている。「結果がすべてのプロの世界でオシムさんは人間らしさを大切にした。人を大事にするという思想がすべての練習のベースにある」
「駆ける魂」2007/01/31, 日本経済新聞 夕刊,
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才能や経験の足りないキャピタリストが投資先ベンチャーに大きな付加価値を提供しようと思ったら、並外れた情熱で人を巻き込む以外に方法はない。弱小ジェフを日本一にした祖母井氏のように。
山中礼二
2007年01月21日
グロービス代表の堀義人に同行して、米ビジネススクールを回っている。堀は起業家としての行き方を奨励しているが、 ビジネススクールの学生には、ためらいを感じる人も多い。
そんな中で堀が、自分が何でも可能にできるという「大いなる勘違い」をせよ、と言ったのが面白かった。この「勘違い」がないと、起業に踏み切ることができないとのこと。
自分の可能性は無限であり、自分は企業経営者として十分な力を備えている・・・。これは、短期的には「勘違い」かもしれないが、この「勘違い」をできた人だけが、試行錯誤の中から本当のプロフェッショナルな経営者に育っていく。だから、「大いなる」勘違いなのだ。
今回各地のビジネススクールを回っていて、「起業したい」と明言した方に、多く出会うことができた。ぜひ大望と「大いなる勘違い」をもって、前に進んで欲しい。
山中れいじ
2006年10月07日
先週から、グロービスのオリジナルMBA(GDBA)プログラムの中で、ベンチャー・マネジメントという科目の講師を始めた。
ベンチャーのマネジメントは、ある意味究極のマネジメントだと思う。大企業のような、与えられた豊富な経営資源の下に、最適解を選ぶというのは、「簡単」すぎる。経営資源すらないところで、凄まじい時間的プレッシャーにさらされながら、イノベーションの機会を追求するというのは、非常に難易度の高いマネジメントではないだろうか。
そこにチャレンジしようとする受講生の方々の熱意と、素晴らしいケースに恵まれた。ありがたいことである。
2006年08月17日
日・中・韓の学生のためのビジネスプランコンテスト「OVAL2006」が、今日東京で開催された。これまで、日本人参加者のための事前レクチャーなどをグロービスでボランティア的に担当してきたが、今日は審査員として参加した。
(http://www.oval-official.org/)
まず驚いたのは、前回東京で開かれた第一回OVALに比べて、レベルが格段に上がっていたこと。特に財務計画をきちっと作れているチームが多いことに、驚いた。
一方で今回残念だったのは、市場の分析が甘いチームが多かったこと。市場の分析については、私も事前レクチャーでほとんど触れていなかった。次回以降、改善の余地がありそうだ。
市場の分析といっても、別にすごいことを求めているわけではない。ただ、以下の質問の大部分に答えられるような市場分析がなされていれば、相当強い印象をジャッジに与えられると思う。
・その商品/サービスは、市場に求められているものか(Market Needs)
・その市場の規模と、成長性は?(Growth Potential)
・どのような市場セグメントをターゲットとしているか(Targeting)
・本当に「切り取れる」市場規模は、いかほどか('takable' market size)
・消費者が、これまで(代替的に)購入してきた商品/サービスは何か?(Competitor / Alternatives)
・従来の商品/サービスが満足させられていない市場セグメントはどこなのか?(Unmet Needs)
・あなたの商品/サービスに対して、消費者はいくらの価格を払うつもりがあるのか(Willingness to pay)
皆、マーケティング戦略の4Pは組んでいるのだが、その前提として上記の分析がされていないケースが多く、市場ニーズがあるのかどうかがジャッジの主観的判断にゆだねられてしまった感がある。
これらを、徹底的に大学生に伝えるためには、どうしたら良いのだろうか?何か良い方法をご存知の方、教えて下さい。特に、学生向けビジネス教育の世界(特に関西)で有名な、盟友ぽんすけ氏、アドバイスをお願いします。
山中
2006年07月16日
最近サッカーの話以外はブログに書いていない気がして、お恥ずかしいです。
最新号の「Number」誌で、「ドイツ大会に見る戦術的傾向」という記事が興味深い。何が勝敗を分けたのか、3人のサッカー専門家がコメントしている。
(以下、引用)
「(元ベルギー代表キャプテンのマルク・ウィルモッツ氏曰く)規律とシステムは、かなり決定的な要因になっていたと思う」
世界で最も経験豊富な監督、ユベントス、アズーリの元スタープレーヤー、そして最近まで現役だった将来の監督候補。年齢も立場も違う3人は、当然三者三様の意見を持っている。しかし、申し合わせたように一致していたのが「規律と集団プレー」という言葉だった。
彼らのいう規律とは、「ディシプリン」と呼ばれるものだ。サッカーの現場ではかなり一般的になっている言葉である。誤解されがちなのは、ディシプリン=戦術という解釈で、サッカーにおける戦術的規律(タクティカル・ディシプリン)とは、戦術そのものではなく、戦術を守ろうとする意識を指す。
例えば、守備のときのポジショニングがチームとして決まっていても、それが正しく実行されなければ守備組織に穴が開いてしまう。つまり、戦術はディシプリンとセットでなければ意味がない。
(Number7月27日号「ドイツ大会に見る戦術的傾向。」)
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これを読んで唐突に思い出したのが、以前英会話スクールGabaの須原取締役(COO)にインタビューをした際のことである。競争の厳しい英会話学校の市場の中で、Gabaはマンツーマンの高級路線を強く打ち出すことで、差別化された地位を確保している。
しかし須原氏の話によれば、戦略を立てこと以上に難しいのは、立てた戦略を社内の全ての活動に落とし込んでいくこと・・・だという。全ての対外的コミュニケーション、そしてあらゆる社内のコミュニケーションが、この戦略から逸脱していないか、チェックし続けることが重要で、かつ難しいことだと教えていただいた。
戦略を立てること以上に、立てた戦略をとことん守り、戦略的ゴールを追及することが難しい。これが勝利のカギを握っている。今回のW杯はそれを教えてくれたように思う。
山中
2006年07月10日
グロービスの受講生の方々が主催して下さっている「あすか会議」に参加した。公文教育研究会の梅田真氏(グループ人事室室長)のお話を伺って感銘を受けた。
公文のビジョンとは、シンプルに「教育を通じての世界平和」だという。
現在、世界45カ国に公文の教室はオープンされている。彼らの「2014年ビジョン」では、2014年までに、全国連加盟国で教室をオープンし、子供の教育を確立することで社会を安定させ、世界平和に寄与することが目標だという。
久々に、すごいビジョンを聞いた。さすがは、世界に進出している日本のサービス業の代表選手である。
山中礼二@子供の頃12年間、公文をやっていました。